
フラッシュライト編の第2回は、SureFire(シュアファイア)がテーマです。
フラッシュライトのパイオニアとして業界トップを突き進むSureFireについて、同社が製造するフラッシュライトの特徴と合わせてご紹介を致します。SureFireは、フラッシュライトを使う多くのユーザーにフラッシュライトの老舗ブランドとして知られていますが、今回ご紹介するライトの照射パターンはご存じない部分かもしれません。
是非読み進めてみてください!
フラッシュライトのパイオニア
1979年に設立したSureFire(旧Laser Product)は、フラッシュライトだけではなくサプレッサーや聴覚保護器具など幅広く専門家向けに製品を提供する総合メーカーです。
1980年代にアメリカの官公庁が採用していたMAGLITEのダークスポット(照射した光量が弱い場所)を解消して強力な光を放つ小型ライトとして、リチウム123Aバッテリー2個を搭載した6Cの開発に成功しました。
わずか4.6インチ(約11.7センチ)のコンパクトな懐中電灯から、当時の業界標準の6倍となる60ルーメンという驚異的な明るさと航空機グレードのアルミニウムボディで防水性と耐衝撃性も備えたモデルでした。
その数か月後に6Cにユニークなプッシュボタンテールキャップを加え、デザインを改良したフラッシュライト6Pを発表しました。
SureFireは、世界で最初に3高(高輝度・高出力・高強度)のフラッシュライトを世に出したことで、自他ともに高みを目指せる「フラッシュライトの基準」を作ったといえます。
SureFireフラッシュライトは、どんな距離でも常に焦点が中心に合うように設計されており、ターボ、マックスビジョンビーム、ハイブリッドのビームパターン(照射された光が照明器具のビーム内でどのように分布しているかを示すもの)でフラッシュライトを作成しています。
SureFireフラッシュライトのビームパターンであるターボ、マックスビジョンビーム、ハイブリッドそれぞれの特徴をご説明します。
SureFireのビームパターン

SureFireフラッシュライトの多くは、ハイブリッドビームパターンを採用しており、一般的な用途に適したモデルです。

TURBO(ターボ) カンデラ値が高く、遠くまで届く強く細いビームを照射します。 |
HYBRID(ハイブリッド) 強いビームを放ちつつその周囲を充分な光量で照らすため、中距離にて照射対象と周囲の様子を同時に知ることができます。 |
MAXIVISION(マキシビジョン) 非常に広く均一なビームパターンなので、短距離照射を重視で近距離での識別や広い視野を確保するのに最適です。 |
そう聞くとSureFireはハイブリット仕様モデルで良いかと考えますが、そうではありません。ターボ、ハイブリッド、マックスビジョンビームは、それぞれ特定の用途に合わせた仕様だからです。
では、どういう用途に使うのかをご説明いたします。
ターボの効用


写真の左側がハイブリットビームパターン、右側がターボビームパターンですが、それぞれの光の到達地点と周囲への明るさの違いに注目していただくとわかります。
長距離の対象物をはっきり照らしているのはターボビームパターンになります。
より長い距離の物体を照らすには、狭くて高密度(高カンデラ)のビームを生成する光学系が必要なことが見てわかるかと思います。
より遠くの物体を照らすためにSureFireもパワーアップすることで光量を上げており、今では最大1500ルーメンまで出せるようになっています。
しかし、フラッシュライトを使う現場の意見として500ルーメンぐらいで良いのではないかという意見があるようです。
理由として、1500ルーメンというハイパワーだとLEDに負担がかかり過ぎてしまい、1500ルーメンを出す目的が長距離を照射するという方向性に進んでいたのを、ルーメン数を上げずに充分に光を届かせることを目的としたのがこのターボです。
ターボはSureFireの最新モデルで、強烈なハイカンデラ且つタイトに収束された光を長距離に照射するターボビームパターンが特徴です。
ターボビームパターンを照射するターボヘッドリフレクターを採用したターボモデルは、500mをはるかに超えてターゲットを識別するための十分な照度を提供します。
ターボをウェポンライトにしたモデルの一つとして、SureFireのベストセラーとなるハンドガン向けウェポンライトのX300Turboがあります。
通常モデルのX300UltraとX300Turboの照射の違いは、X300Ultraは全体的に照射させる感じであるのに対してX300Turboは真ん中に集中照射させる感じになります。
ターボモデルの使用用途の一例としては、小銃に搭載したLPVO(Low Power Velocity Optics:低倍率可変光学装置)のような倍率を持つ光学機器と併用して、夜間や低視度環境下の長距離先にいる対象物の状況を確認することが上げられます。
太い直線に強力な光の光線を出すため、拳銃や小銃の照準のゼロインができていれば、照準の補助としても活用いただけます。
ターボビームパターンのハンディライトを単眼鏡と組み合わせれば、遠距離にある目標の状況確認も行えます。
ターボビーム採用モデル例
ハンディライトモデル
ウェポンマウントモデル

ハイブリットの効用
従来の懐中電灯は、広範囲を照らした際にできるダークスポットによって脅威を見落とす危険性が問題視されていました。
その問題をSureFireは、メインビームを取り囲み広い範囲を照らす光量の減少を最小限に抑えながら、長距離使用できるように設計されたハイブリッドビームパターンライトを開発したことで解決しました。
ハイブリッドビームパターンライトには、全内部反射(TIR)レンズ技術が採用されています。
LEDが発した光をすべて吸収して拡散するTIRレンズ技術によって比較的タイトな明るい中央の円錐状の光が遠くまで照射し、その残りの光が周辺視野を照らすように取り囲めるのです。
ハイブリットビームパターンは、汎用型というだけあってその使用状況は数多く考えらえます。
例えば、被疑者確保の際に強力な光で被疑者の視界を遮り、危険があれば認知できる明るさで周囲を照らせるので、職務遂行を円滑に行うことも可能でしょう。
ハイブリットビーム採用モデル例
ハンディライトモデル
ウェポンマウントモデル

マックスビジョンの効用
暗い場所で手元や足元を照らして視界を確保する近距離作業を行う際には、非常に広く均一な照射パターンを生成して近距離で識別可能な照明で、使用者の広い視野を確保できるモデルが必要となります。
それに適合をするSureFireの特許取得済み技術であるマックスビジョンは、人間の目の視野に合わせた広範で均一なビームを照射します。
マックスビジョンビームは、25メートル未満の距離で使用される可能性が最も高いヘッドランプ、リストライト、ハンドヘルドライト、ハンドガンウェポンライトに最適なため、その用途に使うことを想定したモデルが販売されています。
マックスビジョンの使用用途としては、歩哨警戒業務や車両整備などの通常業務、日常でのライトが必要な状況に適切だと言えます。
マックスビジョンビーム採用モデル例
ハンディライトモデル
ヘッドランプ/リストライトモデル

今回は老舗フラッシュライトメーカーのSureFireについてご紹介を致しました。
フラッシュライトを進化させ、界隈をけん引するメーカーらしい商品群の一端をご紹介できたかと思います。
次回は、そんなフラッシュライト王座のライバルとして注目されるブランドをご紹介させていただきます。
ぜひ次回もご覧ください。
次回 連載予定 第3回 Modlite